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第15回兼題
『暦売』・『凩』

全投句数:25句  選句&選評:16票


天 3 点句
藤乃上 翠、三津浜わたる、美和 選
凩の朝のこいくちしょうゆかな 猫じゃらし
★凩の句で他にも惹かれる句が今回多かったのですが、揚句が一番好きです。
凩の吹く寒い冬の朝餉に漂うピーンとはりつめた空気感と濃口醤油の匂いがマッチしていると思います。 <こいくちしょうゆ>も正解でした。 (藤乃上 翠)
★多少、寒いので味を濃くしたという因果も見えるのですが、やはり「こいくちしょうゆ」に惹かれました。 普段は「うすくちしょうゆ」なのでしょうか? (三津浜わたる)
★凩の朝。朝食に醤油をひとたらし。何気ない取り合わせが良いです。 (美和)
◆この句も好きです。普段は「うすくちしょうゆ」を使っているのに、たまたま木枯しの朝に切らせてしまった。 夫は「今朝の汁は黒いなあ」と言う。責められているようでちょっと気持ちがザワッとする。といったところでしょうか? (まとむ)

● 2 点句
冴戒椎也、まとむ 選
木枯しや工事中なり徐行せよ コスモス楽園記
★吹き荒ぶ木枯しに困って思わず懇願している工事現場員でしょうか。寒い木枯しと騒々しい工事現場にほんのり人情味があって好きです。 (冴戒椎也)
★最近特に見かけます。道路工事の手前で黄色い「徐行」の旗をかざしている姿の人。 この時季、外での仕事はなかなか大変。 車だけじゃなく木枯しさんもおじさんの横は、そっと通り抜けてあげてくださいね。 光景がパッと浮かんだのでこの句いただきました。 (まとむ)
◆木枯しに徐行せよと命令しているのがおもしろいです。年末になるとやたら工事が増える気もしますし。 (猫じゃらし)
◆作業員の方の実感?か、現場監督の方の台詞か、いいですねー、工事現場が活写されていて揚句も好きです。 (藤乃上 翠)
◆面白いなあと思ったのですが、「や」「なり」で2回切れてしまっているように思います。ここは少し推敲が必要ではないでしょうか。 (みかりん)

おうしあ、かず 選
木枯や携帯電話震えだす 三津浜わたる
★詩として読むなら、「木枯や」と「震えだす」、それと「携帯電話震えだす」の位相の転移が面白いのですが、 俳句としては季語が季語として働いてないのが惜しい。 (おうしあ)
★木枯しに震え、携帯電話に震え、ユーモラスな現代の震え二重奏。 (かず)

晃風、マリン 選
凩やよだかの星は今も燃え まっぺ
★身体の中に木枯らしが吹くようになってしまいました。 「よだかの星」を読んで感動した頃が懐かしく思われます。 (晃風)
★冬のキーンとしたつめたい澄み切った夜空が、見えてくるような句だと思います。 私も、それが現したかったのですが、言葉たらずになってしまいました。 (マリン)

● 1 点句
コスモス楽園記 選
凩やぬえも住みたる売物件 おうしあ
★木枯しに、のぼりの色褪せた「売物件」の文字がはためいている様子が浮かんできました。 買い手の無い中古物件の寒寒しく、うらぶれた感じが「ぬえも住みたる」でよく出ていると思います。 (コスモス楽園記)
◆わたくし実は不動産業なんですが、こういう状態にはなりたくないなーなんて思いました(苦笑) でも揚句は上手いです。 (藤乃上 翠)
◆怪しいものの出るときって必ず風が付きものですね。でも木枯しなのかなぁ? (まとむ)

みかりん 選
木枯しや新聞小説最終回 まぐろか
★毎朝楽しみに読んでいた新聞小説の最終回と、吹きすさぶ木枯しがなぜか合っているような気がします。 (みかりん)
◆この句気になりました。木枯しだけにハッピーエンドではなさそうですね。 (まとむ)

ミズスマシ 選
凩やビル棒になり線になり 木琴
★現実の世界が俳句の中で線画になった! 言われてみれば凩ってこんな感じです。
昔、日本でも流行ったa−haというのバンドの「Take on me」のプロモーションビデオを思い出しました。 実写とアニメーションを上手に組み合わせた、(当時)非常に新鮮な映像だったのですよ。
俳句の作者が早く知りたいです。上手いっ!! (ミズスマシ)
◆あのどでかいビルを「棒」とか「線」とかにしちゃうその感性が素晴らしいと 思いました。 (冴戒椎也)
◆ビルを「棒」、「線」と捉えたところひ惹かれます。 (美和)
◆作者は、寒風の街角で震えながら、目を開いたり細めたりしているのでしょうか? 迷った句です。 (山野 遊造)

笑似 選
暦売アトム記念日追加せり 山野 遊造
★これは今年ですね。
未来に夢のある一年でした。
でも、アトム記念日という日があっても良いと思い、一票です。 (笑似)
◆「アトム記念日」ですかぁ...実はアトムと誕生日同じなので妙に感慨深いです(笑)。 (冴戒椎也)
◆内容に賛成です。面白い発想だと思います。他にも色んな記念日をのせているのでしょうか。 (みかりん)

猫じゃらし 選
暦売平らな道に躓けり 美和
★「私もちょっと歳をとったかな」という作者の感慨が、暦売という時の流れを感じさせる季語とうまく結びついていていいなと思いました。 (猫じゃらし)
◆新しく買ったカレンダーを早く部屋に飾りたくて、ついつい「平らな道」にも躓いてしまう気持ち、僕もよく分かります。 (冴戒椎也)
◆最初は暦売の人が躓いたのかな、面白いなと思いました。 次に、売られている暦をちらちら横目で見ながら歩いている人がこけたのかなと思いました。 どちらにせよ、平らな道で躓いた、というところがよいです。 (ミズスマシ)

山野 遊造 選
凩や月と星とを磨きゆく マリン
★透明感のある、近くに何も無い大きい空間で頂きました。 (山野 遊造)
◆凩が月・星を磨くという表現がすてきです。 どういう月(または星)かという具体的な描写があると、さらにいい句になるような気がします。 (猫じゃらし)

スーパーシルフ 選
凩の中や乙女らbicycle 晃風
★自転車通学の女子高生らが頬を紅く染め、白い息を吐きながら走ってくる朝の通学路を想像してほのぼのとした気持ちになりました。 (スーパーシルフ)
◆「bicycle」の響が、元気があって好きです。 (コスモス楽園記)
◆「凩」とか「乙女」とか日本的な単語が並ぶ句に突如アルファベットが出てくると矢張り斬新ですね。 (冴戒椎也)

※もし、自分の選評が載っていないという方がいらっしゃいましたら早急にお知らせ下さい。

※まほろ選

匿名で投句を発表した上で選句&選評を募っていますが、私は立場上、どれが誰の句か分かっているということで、 選句の票数には数えずに「まほろ選」という形で別にして、選句&選評を紹介させていただきます。
ということで、良いと思った句を選んではいますが、あくまでも私自身の好みです(^-^;
※「まほろ選」の句には、互選票数による点数とは別途、累計点数ランキングの集計時に1点を差し上げます

木枯しや線路は平行線のまま ふじばかま
線路は平行線・・・当たり前の事ではあるが、「凩」との取り合せによって、その平行である事がなんとも物悲しく感じられるから面白い。
ずっと先まで長く伸びている線路、その2本のレールはどこまで行っても出会う事は無い。読み手はそこに、心情を重ねずにはいられない一句。
◆木枯らしと、長く真っ直ぐ続く線路と…。きっぱりと寒げな感じが出ています。「線路は」の「は」は不用かも? (ミズスマシ)


●無点句
木枯を貪ってゆく紙飛行機 冴戒椎也
◆下六になってるのでちょっとリズムが悪いかなと思ったけど、最後まで気になる句でした。 (コスモス楽園記)
◆貪るという表現がここでは重過ぎるような気がします。 (まとむ)
木枯らしに落ち葉とわたし空を舞い うま2号
◆木枯しで葉っぱが舞うのは当たり前。 「わたし」が舞うとしたらわたしの一部分に焦点を絞ったらどうでしょうか? (まとむ)
ジョン・レノン残りわずかの暦売 みかりん
◆「ジョン・レノン」をこの句に持って来た意図や、何が「残りわずか」なのかが、掴みづらかったです。
状況や映像を思い浮かべるには情報不足の感じがしました。 (まほろ)
暦売ちらりめくってみたりけり まほろ
◆誰もが経験のある行動ですね。「ちらりめくって去りにけり」とすると、よりおかしみが出るかもと思いました。 (猫じゃらし)
◆「ちらりめくる」は迷っているのか、はたまたこっそり見なくてはいけないものなのか? どうせなら堂々と見てね。その方がおもしろい句になりそうです。 (まとむ)
凩が曲がる角には来来軒 ミズスマシ
◆揚句も雰囲気いいですね、<来来軒>じゃあないといけません。 (藤乃上 翠)
◆ちょっと寄り道したいです。 (まとむ)
◆「角には来来軒」という表現は、面白いなあと思いました。「が」「が」と2度あると口にしたときの音がどうだろうかと疑問が浮かびました。 「凩の」とした方がよいかなと思いますが。 (みかりん)
琴線を掻き鳴らせしか木枯しは 藤乃上 翠
◆木枯しの日はそうかも。 (まとむ)
凩の一号を聞く電話かな まとむ
◆電話で凩(の便り?)を聞く状況がどういうものだろうと悩んでしまいました。 (まほろ)
凩に歩き始めし児の一歩 かず
◆飛ばされるなよー。人生を感じました。 (まとむ)
こがらしが舞いし散らす我がこころ ハインツ・ホフマン
◆木枯しというと淋しくなってしまうものでしょうが、その心の中を物で表現できたら・・・と思いました。 (まとむ)
◆中七が六音でリズムがよくないのが気にかかります。 「舞いし」の「し」も過去の出来事となり、時間的なずれを生じさせているのが気になります。 (みかりん)
凩を眺むる窓辺の一人ぽち らこ
◆「ひとりぽっち」と取るところでしょうが、パッと見「一人ぽち」の「ぽち」が犬の名前に見えてちょっと面白かったです。 そういう狙いもあったのでしょうか? (冴戒椎也)
◆木枯しというと淋しくなってしまうものでしょうが、その心の中を物で表現できたら・・・と思いました。 (まとむ)
暦売虎の勇姿に笑む親父 笑似
◆『六甲おろし』を携帯着信メロディに設定した我が家の父を連想しクスリとしてしまいました。 (スーパーシルフ)
暦売残る我等と刻む時 さとしうまれ
◆う〜ん、いまいち状況がつかめなかったですかね。「残る我等」が何者なのかが見えてくるといいのですが・・・。 (まほろ)
凩や国道に潮打ち上げり スーパーシルフ
◆海の近くに住んだことのない私にもその情景が目に浮かんでくるようで、写実の持つ強さを感じました。 (猫じゃらし)
◆よく見る風景だと思いました。んー写生句にするなら国道を省いて潮の様子が詳しくほしいような・・・。 私も写生句が苦手でうまくアドバイスできないのですが・・・。 (まとむ)

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